性感染症・性病について
性病とは、性行為やオーラルセックスなどによって感染する性感染症であり、STDやSTIなどとも呼ばれています。
さまざまな性感染症があり、症状も男女差があるなど大きく違います。将来の不妊や母子感染などにつながってしまうケースもありますので、症状がなくてもパートナーが感染していた場合には必ず治療をしっかり受ける必要があります。
当院ではプライバシーを重視した診療を行っていますので、気になることがありますたらなんでもお気軽にご相談ください。
当院の性感染症に関する診療方針
個室診察
安心してお話しいただける環境を作るため、診療室は全て個室になっております。
患者様に合わせた治療で確実に治します
抗生物質に抵抗性を持つ細菌が増えてきており、尿道炎では約4割以上がそうした細菌によるものだと指摘されています。当院では培養検査を行う前でも有効性の高い治療薬を選択して、できるだけ早く症状を抑えることができように心がけています。また、通常の抗生物質が全く効果を現さない場合やウイルスによるものなどでも治療法を用意しています。
なお、検査はくわしくご説明した後に行いますので、安心していらしてください。
プライバシーを重視
泌尿器科はデリケートな診療科ですので、プライバシーには十分に配慮した診療を行っています。受付などで病名や症状などについてお話することはありませんのでご安心ください。また病気のことでご自宅や職場に連絡をさしあげることもありません。
性病検診を行っています
性病は誰でもかかる可能性がある病気ですが、将来の不妊や母子感染などを起こす可能性がゼロではありません。男性・女性にかかわらず、結婚を考えはじめる時期になったら検診を受けるようおすすめしています。感染がわかったら適切な治療を受けてきちんと治し、安心して過ごせるようにしましょう。
性病予防のために
不特定多数とのセックスを行わない、性行為の際にはコンドームを付けることで、性病の感染リスクを大幅に下げることができます。コンドームでは防ぐことができない性病もあり、オーラルセックスにも注意してください。
ご自分がちょっとうっかりして大切なパートナーを感染させてしまう可能性もあります。そのため、症状がなくても「もしかしたら」と思ったら検診を受けるようにしてください。
主な性感染症
クラミジア
クラミジアは自覚症状に乏しいため感染が広がりやすく、成人の3%~5%が感染していると報告されたこともあるほど多い性感染症です。男女で異なる症状が現れ、症状がない場合もあります。
男性の症状
- 排尿痛
- 尿道の痒みや熱っぽさなどの違和感
- 白っぽい分泌物
- 頻尿
- 精巣上体(精巣上部にある副睾丸)の腫れ
- 尿道出口の淡い赤み
女性の症状
- おりものの増加
- 下腹部痛
- 性交時痛
- 不正出血
男女どちらか、あるいは両方ともに自覚症状がないケースもあります。パートナーが感染していることがわかったら、必ず受診してください。
治療
抗生物質の服用を1~2週間程度続けます。早めに治療を受けると効果も出やすく、初診と薬の服用だけで治療できることもあります。パートナーがいる場合は、その方の治療も不可欠です。
淋病
性行為だけでなく、オーラルセックスやキスでも感染する可能性があります。男性には排尿時の痛みなど強い症状が現れますが、女性の自覚症状はほとんどないことが多く感染に気付かないことも多くなっています。将来の不妊や子宮外妊娠につながる可能性があるため、パートナーの男性の感染がわかったら、女性も必ず受診してください。
男性の症状
- 排尿時の激しい痛み
- 尿道の痒みや熱っぽさなどの違和感
- 黄色く粘着質の膿
- 頻尿
- 精巣上体(精巣上部にある副睾丸)の腫れ
- 尿道の出口が赤っぽくなり、腫れる
- 排尿困難
- 血尿
女性の症状
- 黄褐色で悪臭のあるおりものの増加
- 下腹部の痛みや発熱
女性はほとんど自覚症状がない場合が多いため、上記のような症状がまったくなくても、パートナーの感染がわかったら必ず受診してください。
梅毒
以前はほとんど見られなくなった性感染症ですが、近年増加傾向にあり、ニュースなどでもたびたび報道されています。抗生物質による治療が有効ですので、早期に適切な治療を受けることが重要です。梅毒に感染しているとHIV感染などのリスクが上がるため、治療の際にはHIV検査も不可欠です。
梅毒の症状は、進行によって症状が現れる期間とない期間にはっきり分かれています。そのため、不調だったけれど治ったと勘違いして進行させてしまうケースがありますのでご注意ください。
第1期
- 約3週間後に症状が現れはじめ、数週間で症状がなくなります
- 感染部位のしこりや潰瘍
- リンパ節の腫れ
※女性には症状が現れないこともよくあります。
第2期
- 約3ヶ月後に症状が現れ、数ヶ月~数年で症状がなくなります
- 皮膚の発疹や赤い斑点
- 薄赤く円形のアザ(体の中心から手足や頭部など末端に向かいます)
- 後頭部の脱毛
※ここまでの段階で治療が行われて回復するため、これ以降の症状が現れるケースはほとんどありません。
第3期(約3年以上)
- 皮膚や内臓の大きなしこり
第4期(末期症状)
- 関節の炎症
- 手足の感覚が鈍くなる、あるいは感覚がなくなる
- 心臓や血管、目、脳への重度の障害
治療
抗生物質の投与を数週間から数ヶ月行います。治癒のためには第2期までに治療を受ける必要があり、パートナーの治療も不可欠です。女性の梅毒は発見しにくいため進行性梅毒になって胎児に感染し、先天梅毒の原因になる危険性があります。梅毒は治療効果が現れるのが遅いため、気長に治療を続け、完治してからも定期的な診察を受けてください。
性器ヘルペス
性行為だけでなくオーラルセックスで感染する可能性もあります。性器周辺にヘルペスが感染し、違和感や痒みがまず現れ、その後水泡や潰瘍などができ、最後にただれて強い痛みを生じます。男女ともにこうした症状が起こりますが、女性がはじめて発症した時には痛みがとても強くなる場合があり、排尿障害を起こすこともあります。
症状
- ヒリヒリする違和感
- 痒み
- 軽い痛みをともなう水疱や潰瘍
- 歩行時や排尿時の痛み
- 太もものリンパ節に生じる腫れや痛み
- 高熱
- ただれによる激しい痛み
治療
高い効果を持つ抗ウイルス剤がありますので、それを用いて治療します。感染時には症状が強い場合が多いため、注射や内服、軟膏塗布などを行います。排尿困難がある場合には入院が必要になることもあります。再発が多いのですが、症状が軽い場合には内服だけでおさまることもよくあります。
トリコモナス
膣トリコモナスという名前ですが男性も感染して発症します。ただし、男女で症状に違いがあります。原虫が性器に進入して炎症を起こしますが、性行為だけでなく下着やタオルなどによる感染も起こり、トイレ・お風呂・プールなどで感染する可能性があります。
男性の症状
- 排尿時の軽い痛み
- 頻尿
- 膿のような分泌物
- 性器の痒みや熱っぽさ
※男性には症状が出ないことが多くなっています。
女性の症状
- 膿に似たおりもの
- 悪臭のあるおりもの
- 黄・緑・白など濁った色で水っぽいおりもの
治療
男性は尿道から、女性は膣から分泌物を採取して検査し、感染が認められたらフラジールというニトロイミダゾール系抗原虫薬という駆虫剤を約10日服用します。女性の治療では、膣に挿入するタイプの薬剤もあります。
毛ジラミ
成虫は肉眼でも確認可能なサイズですが、激しい痒みという症状で感染に気付くケースがほとんどです。男女とも激しい痒みが起こり、湿疹はできません。成虫は人から離れても約48時間は生き残ることができ、性行為以外の寝具やタオルの共有、サウナやプールなどでの感染もありえます。成虫は30~40個程度の卵を産んで、その卵は1週間ほどで孵化してしまうため、パートナーを含めた治療だけでなく、寝具や衣類の消毒を行わないと家族の感染も起こる可能性があります。
症状
感染部の激しい痒み
※痒みがない場合もまれに存在し、毛ジラミの糞が黒い点のように下着に付着していることで感染に気付くこともあります。主に陰毛に寄生しますが、他の体毛に寄生することもまれにあります。
治療
剃毛や毛ジラミ駆除のためのパウダーやシャンプーを使った治療を行います。こちらのお薬は薬局で御自身が購入することができます。(スミスリンシャンプー、スミスリンパウダーなど)